運だけ研究生活

渦鞭毛藻、略して「うずべん」を研究しています。研究者の方向けの内容にはならないとおもいます。悪しからず。

辛勝

筆者のうずべんたちの光合成活性測定へ向けて、今日は細胞の持つ光合成色素の定量解析を行った。
以前の記事(https://under-the-floor.hatenablog.com/entry/2020/07/20/215329)に書いた通り、この実験は筆者のいる研究室の設備ではできないので、今回協力していただけることになった別の研究室にお邪魔してやらせていただいた。

色素解析に用いた機器はHPLC(高速液体クロマトグラフィー、high performance liquid chromatography)である。原理をものすごく簡単に説明すると、物質にはそれぞれ異なる強さの極性があり、これによって油に溶けやすいか水に溶けやすいかが決まるので、この差を利用して物質を分離する。色素解析ではおそらく最も一般的に用いられている。
今回使わせていただいたのは、HPLCの中でもめちゃくちゃ立派なやつであるそうだ。

さて、解析のためには当然一定量以上の色素が必要で、そのためにはうずべんたちに増えてもらう必要があった。先週初めて研究室を訪問してから、今日の解析まで1週間の間が空いたのは、うずべんを増やすためである。
ところが、筆者のうずべんは濃度が高くなりづらい。他のうずべんだと、培養液が茶色になるほどに増えたりするものもあるのだが、筆者のうずべんでそこまで増えた様子は見たことがない。
この問題の解決のため、まず先週複数のシャーレにうずべんを植え継ぎ、それぞれ増やしてから、今日の実験の直前に遠心して濃縮する方法を取った。しかし、これでも細胞濃度は非常に心許ないものに留まってしまった。
訪問先の先生に細胞濃度を報告したところ、普段の100分の1とか言われてしまった。帰ったらやつらに100倍やる気を出せと叱っておこうと思った。

とりあえず解析はやるだけやってみようという事になり、やってみたところ、なんとかギリギリ解析ができた。安心である。これで解析できなかったら訪問先の皆さんに迷惑をかけただけになっていた。
ただ、一部のうずべんから謎の色素が検出されたりして、一同頭を悩ませたりもした。未知の色素の同定にはさらに量が必要らしく、中々大変な上に、この実験の本筋から逸れてしまうので、詳しくやるかは分からない。面白そうだとは思うのだが。

詳しい結果は明日以降教えて頂けるそうなので、楽しみに待とうと思う。