運だけ研究生活

渦鞭毛藻、略して「うずべん」を研究しています。研究者の方向けの内容にはならないとおもいます。悪しからず。

修士課程

先日、現在修士1年の知り合いと酒を飲んだ。彼曰く、研究がつらいらしい。半分以上彼の愚痴を聞く会だった。
具体的に何がつらいのかというと、インターンなどの就活で忙しくて思うように研究が進まず、それによって教授との軋轢も感じているとのことである。




この点、「修士課程」というのは色々な要因により噛み合わせが悪い。

まず短すぎる在籍期間。修士課程はたった2年、学部の研究室配属からの期間を含めても3〜4年である。この間にできることとなるとどうしても限られる。
また、研究室配属が学部4年からの場合、配属された時点で学部卒就職狙う勢の就活の時期が始まってしまっている。こうなると、研究に興味があるけど自分に適性があるか分からないなあという学生は、とりあえず研究やってみて合わなそうだったら就職、という選択肢が取りづらく、そうなると残された道は「何も分からないまま院進」となる。

次に長すぎる就活。酒飲みながら愚痴ってた例の彼が言う通り、修士卒で就職しようとすると修士1年の時点でインターンなどが入ってくる。当然研究にも支障が出る。
指導教官から見れば研究に関係ないことで学生が高頻度でいなくなるわけだ。大目に見てくれる先生もいるが、まあ少なくとも印象は良くないだろう。

そして運ゲーすぎる教授ガチャ。ぶっちゃけた話、「教授」という人種にはかなり尖った人物が多く、やばい教授によるパワハラアカハラといった問題は後を絶たない。筆者の印象では、表面化していないだけでこの問題は結構頻繁に見られる。
また、研究室配属前に教授がやばい人なのか人格者なのか判断するのは案外難しい。対外的な印象と研究室内での様子がかなり違う教授もいる。
というか、どうしてもやりたい研究があったのにその研究室のボスがやばい人だったりすると逃れようがない。
さらに、研究室を変更するタイミングが(日本の大学においては)少ない。学部から修士に行く際に研究室を変えるという選択肢はあるが、ほとんどの大学院の院試は夏なので、その年の春に研究室配属がされたと仮定すると、判断までの時間は春から夏までとなり、かなり短い。これを逃すと、向こう2年は教授にいじめられながら過ごさなければならない、かもしれない。
ちなみに海外だと、学部(?)の段階で数ヶ月単位の短いお試し期間を何度か繰り返し、いくつもの研究室で研究を体験したあと、最終的な配属先を決める、というパターンがあるらしい。これにより自分に合っている研究の見極めや、教授ガチャ爆死のリスクを抑えることができるわけだが、まあその数ヶ月のお試し期間で一体何ができるのかと言うのは疑問である。




この他にも要因は色々あるが、とにかく修士課程で辛そうにしている学生は周りにいっぱいいる。めちゃくちゃいっぱいいる。
同期がみんな院進してるから流されて自分も院進したけど、どうせ研究続けないなら就職すべきだった〜という人も本当に多い。

筆者の場合、最初から研究を続けるのを前向きに考えていて、修士課程の2年間は、ほんとにこの先進んで大丈夫か?というのを真剣に考えるいい機会にはなった。ある意味でのモラトリアムの延長である。
あと、教授ガチャでSSRを引いたのは運が良かった。




ということなので、万が一修士に進もうか迷っている方がいたら、ちゃんと考えた方がいいと思う。