運だけ研究生活

渦鞭毛藻、略して「うずべん」を研究しています。研究者の方向けの内容にはならないとおもいます。悪しからず。

このブログを書き始めた博士課程進学直後、学振からの給料的なものが振り込まれる5月終わり頃まで、とにかく金がなくて苦しかった記憶がある。苦しかったというか本当に尽きていたので、少し先輩から借りたりしていた。
修士の終わりに卒業旅行に行ったりその年の夏の国際学会へ向けて飛行機の予約をしたりしていたので、あの金欠は逃れようがなかった。

その後、学振からの月20万円が振り込まれるようになってからは、金の力とはこんなにも偉大なのかと驚いたものである。それまでは親からの仕送りが月8万円だったので、それと比べて倍以上の収入が得られれば愉快になるのは当然である。




しかしながら、学振特別研究員として3年過ごした今改めて振り返ると、金銭的にウハウハできたのは最初の1年だけだった。

その要因として最も大きいのが、前年の収入を参照して課せられる税金や保険料の存在である。2年目と3年目はこの額が大きくなり、正味の収入は減少したと言ってもいいだろう。
また、昇給が起こりえないというのも苦しかった。一般的には、年功序列だろうが実力主義だろうが、それなりに頑張ればそれなりの昇給があるはずなのだと思う。しかし、研究生活で頑張った結果待っているのは昇給ではなく、次の何年か分の収入を確保するための審査である。まあそれが昇給のチャンスであるのは間違いないが、落とされると収入が途絶えると考えるとすごく理不尽に見える。

結果として、筆者の収入は、最初の1年は黒字だったものの、後半の2年は緩やかな赤字となった。貯金はあまり残っていない。
コロナの影響で飲み会や旅行の機会が奪われてこれなので、正直金銭面においてはそんなに余裕のあるものでは無かったと評さざるを得ない。




学振を経験した上で普通に就職してみると、双方の対比を実感を持ってできるので、見えてくるものがある。
やはり一般企業に勤める場合と比べると保証や手当が皆無である点、なぜか授業料を払わなければならない点なども合わさり、待遇は雲泥の差である。

学振を申請した時は月20万という数字だけ見て目が眩んでいたが、金のことに関して言えば就職するのが絶対に良かった。