運だけ研究生活

渦鞭毛藻、略して「うずべん」を研究しています。研究者の方向けの内容にはならないとおもいます。悪しからず。

粘着系鞭毛装置

2ヶ月前に再投稿した論文の審査結果が返ってきた。結論から言うとまだ受理はされず、再度minor revisionということで修正を要求された。

再投稿から結構時間が経ったのに中々返って来ず、何やら怪しいぞと思っていたら、どうやら前回のレビュアー2人とはさらに別の人に査読を回していたようだ。しかもその人が鞭毛装置に相当精通した人であるらしく、鞭毛装置絡みの内容にものすごい量の指摘を入れてきた。逆に言えば鞭毛装置以外の内容はほとんど指摘されなかった。どれだけ鞭毛装置が好きなのだろうか。

これからまた指摘された箇所を直したり、納得できない指摘には反論したりして、30日以内に再投稿する必要がある。
今は実験やゼミの準備などでかなり忙しいので、着手できるのは来週後半頃からになるかもしれない。いずれにせよ、予想していなかったところで仕事が増えてしまい、少ししんどい。




ところで、筆者のこれまでの記載論文には、例外なく鞭毛装置の情報が盛り込まれている。しかし、実の所筆者自身は鞭毛装置は好きではない。
そもそも鞭毛装置は筆者の興味の対象外である。元々筆者はうずべんの系統分類や光合成関連の話に興味があるのだ。確かに鞭毛装置は系統分類学の議論をするにあたって役立つのは間違いなく、そのデータを世に公開することの意義と重要性は理解しているつもりだが、それは別として好きかどうかと聞かれたら好きではない。
また、データを揃えるまでの労力が膨大なのもよくない。うずべんの記載論文を書こうとした時、律速段階は大抵の場合鞭毛装置になる。裏を返せば、鞭毛装置以外はデータ揃ってるのにこいつのせいで書けない…という事態が頻発する。

そんなこともあって、筆者は今後しばらく、うずべんの新種記載をする際鞭毛装置の解析は省略しようと決心した。鞭毛装置の情報は新種記載において必須ではなく、無くても全く問題がないのだ。
ではなぜ今まで鞭毛装置をやってきたのかと言うと、初論文の投稿先のジャーナルの編集が鞭毛装置屋で、鞭毛装置を入れないと残念そうにされる(教授談)からやったというのがきっかけである。その後はTEMの技術が上がって適当にやっても鞭毛装置が見えてしまったので、せっかくだからという事でやった。要は惰性である。
こんな中途半端な気持ちでだらだら付き合い続けるのは良くない。別れるべきだ。

こうして筆者は鞭毛装置から足を洗った。これで鞭毛装置フリーの快適な分類ライフが送れると思っていた。

そしたら鞭毛装置が嫌だ離れたくないと言ってすがりついて来たのだった。




しょうがねえなあ。