運だけ研究生活

渦鞭毛藻、略して「うずべん」を研究しています。研究者の方向けの内容にはならないとおもいます。悪しからず。

PASS

少し前に、トランスクリプトーム解析用のRNAの抽出が終わったので、それを解析業者に送った。この件について詳しく書く。

そもそもトランスクリプトーム解析とは、細胞でどんな遺伝子が発現しているのかを調べるために、細胞中のmRNAの配列を片っ端から読むという解析方法である。DNAの形でコードされている遺伝子は、発現の過程でmRNAに変換(転写)されるので、そのmRNAの情報から間接的に遺伝子発現の様子を見ることが出来るのである。
とはいえ、細胞中のmRNAの量は膨大で、この配列を全て読むには専用の装置が必要である。これがいわゆる次世代シーケンサー(NGS; next generation sequencer)と呼ばれるものである。
NGSにも種類が色々あり、トランスクリプトーム解析に使われるような大きなものは筆者のいる大学には無い。そのため、mRNAサンプルの用意までは自分でやり、そのシーケンシングは業者に外注してやってもらうという選択を筆者は取ったのだった。

そもそもmRNAの抽出の時点で結構苦戦し、6月頃に始めて、全てのサンプルが揃うまで結局10月までかかってしまった。しかし、経験者が研究室にほぼおらず、別の研究所にいる先輩にメールでアドバイスを貰うだけの環境だったので、成功まで漕ぎ着けただけでもまあ頑張ったんじゃないかなと思う。

このサンプルを業者に送ったのが約2週間前である。
サンプル到着後、すぐに解析をしてくれる訳ではなく、まずそのサンプルが解析するに足る質を持っているかの確認(クオリティチェック)をして貰える。結果は、今回の場合はPASS(合格)、HOLD(リスクあるけど行けなくはない)、FAIL(不合格)の3段階の判定となって通知されることになっていた。これがFAILだと(おそらくHOLDでも)、もう一度RNA抽出からやり直すことになる。

そして、この結果がちょうど昨日返ってきた。
結果はPASSだった。やったぜ。

やり直しは正直非常に面倒だったので、通ったのは喜ばしい。
このままシーケンス解析に進めて貰えるようなので、またしばらくこれを待つことになった。結果が楽しみである。