運だけ研究生活

渦鞭毛藻、略して「うずべん」を研究しています。研究者の方向けの内容にはならないとおもいます。悪しからず。

大学構内の植物をコンプしよう実習 その1

二つ前の記事で紹介した、大学構内の植物を片っ端から同定する脳筋実習の第1回目が行われた。二つ前の記事→(https://under-the-floor.hatenablog.com/entry/2019/05/15/223659)

第1回目と言っても、学生視点だと同じ内容の実習をやるのは1回だけである。
対象の学部生は50人弱いて、1度に対応するには数が多すぎるので、半数が今週、残り半数が来週やることになる。
つまり指導する側の視点だと計2回になる。今日はその1回目だ。




学生は約6人のグループ4つに分かれ、それぞれのグループに教員やTAが付く。行動はグループごとで、大学構内にある原生林を歩きながら、教員とTAは生えている植物の名前を淡々と教え、学生はその植物の写真を淡々と撮る。
筆者はもう何回かこの実習のTAをやっているので、当然のように1人でグループ1つを受け持つことになった。
ここから先、グループメンバーのレポートの完成度は筆者1人にかかっている。責任重大である。

原生林に着いてすぐ、筆者は担当する学生に告げる。
「自分の研究対象藻類なんで、普段陸上植物やってないし、あんま信用しないでください。その辺は勘弁してください。」
全力の責任逃れだ。これでいいのかTA。

あんま信用するなと言いつつも、筆者だって何回もTAをやってきたわけだし、忘れていた分はちゃんと予習した。原生林エリアのこの時期の目立つ植物ならだいたい分かる自信がある。
筆者は植物をつつきながらドヤ顔で「こいつは○○ね〜」と名前を挙げていく。

しかしそれでも分からないものは分からない。本気で同定しようとしても難しい植物はたくさんいる。
イネ科植物はその最たる例である。花がついていればまだマシだが、そうでもしないと本当に見分けがつかない。ちなみに、イネ科植物の「花」というのは、「穂」の部分というか、先端のふわっとした部分と思って良い。
あとスミレ科もわからん。見分けるためのポイントが多すぎるし奥が深すぎる。沼。詳しい人が見れば一発らしいが。
ハコベの仲間とかも難しく、頑張れば行けるが、写真を撮って記録するという実習の都合上、サイズが小さすぎて無理ゲーになる。

こういう場合、「いや〜イネ科はね〜難しいんだけどね〜○○だと思うんだよね〜」みたいなとても歯切れの悪い説明をしてやり過ごす。

ただ、わからん物はわからんと正直に言うことが大事だ。てきとーに嘘の名前を教えて、それが間違った知識として学生に定着してしまうのが1番よくない。




なんやかんやあって、筆者のグループでは(種名怪しいのも含めて)78種類の植物を記録した。
教員勢が担当したグループと比べても遜色のない数に達した。ひとまず安心である。




実習を受ける学生から見たTAは「色々知ってるすごい院生」みたいな感じかもしれない。少なくとも昔の筆者からはそう見えていた。
しかし、実態はこんなもんである。
TAも教員も完璧ではない。人間、限界がある。