運だけ研究生活

渦鞭毛藻、略して「うずべん」を研究しています。研究者の方向けの内容にはならないとおもいます。悪しからず。

植物

藻類は厳密には「動物」とも「植物」とも言えないが、どっちかに分類しないと世界が滅ぶって言われたらまあ植物になるだろう。
ということで、学部生向けの実習のうち、植物が関わるものの一部は筆者の所属する研究室が担当している。

その実習の中に、「大学構内に生えている植物を片っ端から同定する」という力こそパワーみたいな内容のものがある。




筆者のいる大学の敷地には、「原生林」と呼ばれているエリアがある。読んで字のごとく、ただの鬱蒼とした原生林である。明らかに大学の敷地には見えない場所で、真冬の夜に迷い込めば遭難して死ぬだろう。

当然ここにはかなりの種数の植物が生えている。
件の実習ではこれをひたすら写真に撮り、ひたすら同定する。半日の実習でも70〜80種ほどの植物を同定することになる。
まあ、本当に1から調べていると日が暮れるので、ほとんどは教員とTAが名前を教えてあげるのだが。
(※なお、実習では教育目的で原生林の奥に入っているが、あまり多くの人が立ち入ると植生に影響が出かねないので、通常時の立ち入りは控えるべきである。)




さて、繰り返しになるが筆者の所属する研究室は藻類を扱っている。陸上植物は研究対象ではない。
そのため、陸上植物の同定作業をするのは年に1度、この実習が行われる季節だけである。
当たり前だが、年に1度しか関わらないものを70〜80種類も覚えている訳がない。先生方はもう長年やってらっしゃることもありほぼ大丈夫だが、経験の浅いTA組は本当にやばい。
こんなんで実習の担当していいんかって感じだが、他にやれる研究室が無いのでしょうがない。




ということで、実習本番直前の今日、毎年恒例の「予習会」が開かれた。
本番と同じコースを歩き、生えている植物の名前を確認していくのだ。

今回は、実習の担当ではない他の研究室の先生方や院生も何人か一緒に参加した。
暇なのかと思われるかもしれないが、生物学に携わる身として、その辺に生えている植物の名前くらいは知っていた方がいいに決まっている。それに、普段歩かない原生林の奥を歩き、普段目にとまらない植物を見つけて名前を知るのは、結構楽しいのだ。




毎年同じ時期に同じ原生林を歩くと、色々と気付きがある。
例えば、去年はちょうど咲いていたオオアマナがもう散っていたりとか、クルマバソウが咲いていた場所が草刈りで消滅していたりとか、去年の台風の影響で木が結構折れていたりとかしていた。
今年は気温が比較的高く、雪解けも早かったので、花の時期は少し早く進んでいるようであった。ニリンソウが満開ですごかった。




今日の予習会では約2時間かけて約80種の植物を確認した。本番の金曜日までに、これらの特徴と名前をしっかりインプットしなければならない。

本番の様子はまた記事にすると思う。