葉緑体を捨てる藻類
今日の記事のタイトルは、今日の筆者による講演のタイトルでもある。
これが筆者による記念すべき人生初の講演となった。
筆者は自分という人間には自信が無いが、自分のやっている研究の面白さには自信がある。
勝負に出るなら自信のあるものでだ。
今日の講演、とにかく筆者のやっている研究が面白く見えるように工夫しようと思った。
おおまかな内容は、うずべんと葉緑体にまつわるバックグラウンドから入り、筆者がいかにしてうずべんに出会い、いかにして沼にはまり、研究を止められなくなってしまったか、というものだ。
序盤から細かい小ネタを散りばめた。Twitterでよく見るような雑コラを作って貼ったりした。
渦鞭毛藻は途中から「うずべん」と表記したし、普通に「うずべん」と呼んだ。
途中のスライドではうずべんと筆者(ここでは演者か)が会話する形式での説明を試みた。藻類と人間が喋っている様子は気が狂ってるように見えるかもしれないが、これがうずべんに感情移入しすぎた筆者の見ている世界である。
葉緑体消失という現象についても、学術的な重要性はもちろん強調しつつ、「せっかくの葉緑体がもったいないよね?」みたいなとても感覚的な訴えかけをあえてやった。正直、「葉緑体を捨てる」という現象は少なからず感覚的なところに訴えるようなインパクトを持ち、だからこそ筆者は自分の研究を「面白い」と自信を持って言えるのだと思っている。
企画自体が緩かったからこそ出来た工夫であり、もっとちゃんとした場でやったら怒られると思う。ただ、筆者としてはこれくらいの空気の方が好きなのは間違いない。
この方針で運営していただいた企画担当の皆さんに感謝である。
後半少し時間が足りなくなって、すごい勢いで喋っていたらいつの間にか終わった。
講演後、聴講者からの質問が書かれた紙をいただいた。10枚以上はあったと思う。
質問の内容は、筆者自身や博士課程での生活についてが約半数、そして残り半数がうずべんについてだった。
質問の紙にひらがなで「うずべん」と書いてくれているものが多かった。中には「うずべんさん」とか「うずべん氏」とか書いていたものもあった。
「うずべんへの愛はどれくらい深いものですか?」という、それ聞いてどうすんだみたいな質問もあった。これには「ゴマがうずべんに見えたことがある程度には深いです」と答えておいた。
筆者はこの講演で、聴講者にうずべんを認識させることに成功したと言える。
これは喜ばしいことだ。講演者冥利に尽きる。
今回は本当にいい経験になったし、場の空気が緩くて気楽に話せたのも講演初心者の筆者には有難かった。
この先研究を続けていれば、対外的に話をする機会が増えると思う。今回の経験はぜひ活かしていきたい。
最後に改めて、企画運営、そして講演にお誘いいただいた理学部キャリア委員会の皆様、ありがとうございました。