運だけ研究生活

渦鞭毛藻、略して「うずべん」を研究しています。研究者の方向けの内容にはならないとおもいます。悪しからず。

骨の折れる作業

筆者のいる研究室で主に使っている培養液は、「ダイゴIMK培地」という商品である。スポドリみたいに粉末がパックに入っていて、1パックの粉末を100Lの海水に溶かして使用することになっている。

当然海水を100Lも用意してぶち込んで混ぜるのは大変なので、普段は以下の要領で処理をしている。
まず粉末を1Lの脱イオン水に溶かす。微妙に溶けにくい謎の塊が混ざっていることがあるが、気合いで溶かす。
脱イオン水も粉末も滅菌処理はされていないので、この段階でする必要がある。ただし、オートクレーブなどの高温処理は培養液中の栄養素が壊れてしまうためできない。代わりに、細かいフィルターを通して菌やバクテリアを取り除くフィルター滅菌をする。
こうしてできた滅菌済みの溶液を10mLずつ小さい容器に小分けにし、「原液」として保管する。これを1Lの海水に溶かせばちょうど良くなる計算になる。




今日の昼頃、原液のストックが無くなっていたことに気付いた筆者は、粉末を溶かしてフィルター滅菌まで終わらせる所まで1人でやった。

実はここからが面倒で、「10mLを計100回分注する」という作業は想像以上に骨が折れる。分注先の容器の開け閉めとかも考えると骨はバキバキと折れていくだろう。
ということで、暇そうな後輩(暇ではない)を1人召喚して手伝ってもらうことにした。筆者が分注、後輩が容器の開け閉めを担う役である。

ここからさらに問題が生じた。
10mLを計量するためには、それなりの大きさのピペットなどが必要になる。そして普通のスポイトがついた駒込ピペットで計るのもできなくはないが、いちいち目で10mLを確認して分注するのを100回繰り返していては、骨が折れすぎて粉々になってしまう。よって、吸っただけで自動的に10mLになっているような、ピペットマンのでかいやつがこの作業には望ましい。
ところが、そのでかいピペットマンがどこを探しても見当たらないのだ。
ないはずはない。なぜなら1年前に筆者が同じ作業のために使っている。
となると誰かが持って行ったか、間違って捨てたのだろうか。

結局先生方を巻き込んでの大捜索が繰り広げられた(というのもあのでかいピペットマンは結構高い)が、行方は分からないままだった。
捜索の過程で別のピペットマンが部屋の隅から出てきたので、これを使うことになった。ただしチップが滅菌処理されていなかったので、しょうがないからエタノールで消毒して使った。




ピペットマンの捜索も含めて2時間に及ぶ大仕事になってしまった。疲れた。