運だけ研究生活

渦鞭毛藻、略して「うずべん」を研究しています。研究者の方向けの内容にはならないとおもいます。悪しからず。

うずべんには増やせるうずべんと増やせないうずべんが存在する。筆者のメインの研究対象は増やせるうずべんである。
「増やせる」というのはそれだけで研究対象としてのアドバンテージになる。実験をするためにわざわざサンプリングしに行く必要が無いし、細胞がたくさんあるので実験操作の難易度が低く、多少失敗してもやり直しが効きやすい。

また、増やせるうずべんだからこそ可能な実験もある。その例が、筆者が今進めているRNAの解析と光合成活性の測定である。
一応RNAの解析は単細胞でもできる。しかし経験談を聞く限り難易度が高そうなので、未熟な筆者にはたぶん無理である。

さて、今挙げた実験が現在どんな感じになっているかというと、残念ながらあまり上手くいっていない。
実は理由ははっきりしていて、細胞の濃度が足りないのである。

先程筆者のうずべんは増やせると書いたが、十分に増えるわけではない。そもそも増殖速度が遅い上に、細胞濃度の最大値も低いのである。
他のうずべんなら培養液が茶色になるまで増えることも多いが、筆者のうずべんで色が着くまで増えた試しはない。理由は分からないが、多分やる気がないのだろう。

細胞の濃度が高くならないと、RNAの抽出をしても収量が低くなるし、光合成活性の測定のために蛍光を測定してもうまく検出されない。
よって、細胞濃度を上げるために何らかの工夫が必要になる。

まず考えられる方法は遠心である。
培養液を15mLチューブに入れ、1000〜3000G程度で遠心すると、細胞がチューブの底に溜まるのでこれを回収する。これにより回収した培養液は細胞濃度が高くなっている。
実際にこの方法で濃縮したものを使って実験をしてきたのだが、今の所あまり上手くいっていない。おそらく濃縮が足りていない。

次に考えられるのはフィルターを使った濃縮法である。
培養液を細胞サイズより目の細かいフィルターに通し、フィルター上に残った細胞を回収する。
今までこの方法はやってこなかったのだが、先日試してみたところ、ものすごい密度の細胞を回収できることがわかった。次はこの方法で濃縮した細胞を使って実験してみることになるだろう。

そもそも濃縮する以前にうずべんたちにはある程度増えてもらう必要があるので、今培養庫で頑張ってもらっている。頑張ってくれ。