運だけ研究生活

渦鞭毛藻、略して「うずべん」を研究しています。研究者の方向けの内容にはならないとおもいます。悪しからず。

引用

学術的な文章を書く時、自らの論理を補強したり、参考となる情報を提示したりするために、過去の研究結果を引用する必要が出てくる。何かしらを引用した際、引用した情報の後に引用元の著者と年を書き、さらにその文章の末尾に「引用文献」「References」などの欄を設け、そこに詳しい情報を載せる。
引用はそこまで特別なことではなく、ひとつの論文を書くのに何十本もの論文を引用するのはザラである。

既に公開されている論文等を引用する際、その引用元に許可を求める必要などは特に無い。ちょっと前に「無許可リツイートやめてください」的な文言がツイッターで流行ったような気がするが、言ってしまえば無許可で引用することは(引用元に問題がなければ)別に普通なのである。
逆に言えば、引用される側には当然連絡などは来ない。
また、自分の論文が他の論文に引用されることは、直接的な業績にはならない。引用先の論文は自分の研究では無いのでこれも当然である。
とはいえ、引用される論文というのはそれだけ有用であり質が高いと言えるので、その辺の偉さの指標にはなると思う。なにより、引用されるとちょっと嬉しい。

ところで、今「引用される側には連絡は来ない」と書いたが、そういう通知を代わりにしてくれる機能はある。筆者の場合、研究者向けSNSであるResearch gateに登録しているが、ここに筆者の情報や投稿した論文を登録しておくと、「あなたの論文がこれに引用されましたよ〜」と通知が来る。
ちなみに、自分の過去の論文を自分自身で引用した際も通知が来る。一瞬期待した後に残念な気分になる。




なんでこんな話を書いているかと言うと、先程筆者の論文が引用されたという通知が来たからである。

引用先の情報を見てみると、なんと論文ではなく本であった。
https://novapublishers.com/shop/dinoflagellates-classification-evolution-physiology-and-ecological-significance/
こちらの、うずべんに関する総括みたいな本に筆者の論文が引用されたようである。つい最近刊行されたばかりのようだ。

論文であればダウンロードしてすぐ読めることも多いが、本となると読むためには買わなくてはならない。しかしお値段を見るとなんと340$、日本円にして約35000円とあり、普通に買うにはかなり高い。
この手の本は研究費で買うことができる(ただし私物化はできない)ので、研究費が余ったら買うのもありである。筆者が引用されたところを見たいというのもあるが、それ以上にうずべんについて総括する内容の本は確かここしばらく出ていなかったはずなので、普通に利用価値がある。

いずれにせよ、書籍に引用されるのは初めての経験だったが、こうして世に認められるのは嬉しいものである。