運だけ研究生活

渦鞭毛藻、略して「うずべん」を研究しています。研究者の方向けの内容にはならないとおもいます。悪しからず。

サンプリングの成果(暫定)

先週末のサンプリングツアーだが、以前の記事で紹介した通り、結構な数のうずべんを確保出来た。
そのうち、培養が難しいと考えられるうずべんについては写真だけ撮ってしまったので、2つほど紹介しようと思う。




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Gyrodinium sp.

葉緑体を持たない、従属栄養性のうずべんの1種である。詳しい種名までは調べていない。
体は透明であり、うっすらとだが縦筋が見える。

以前紹介したこちらの論文[1]にも出てきた。この論文だと緑藻を与えて増やしていたが、筆者の手元にそれっぽい緑藻がなかったので今は放置している。




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Blixaea quinquecornis

かっこいいうずべん。
なお、少し前までPeridinium quinquecorneという名前だったが、最近になって属の変更によって学名が変わったらしい[2]。

実は葉緑体が珪藻由来であるという変り種である。一度葉緑体を捨てた後、珪藻を取り込んで再度光合成能力を獲得したらしい。

その証拠のひとつとして、取り込んだ珪藻の核がまだ細胞内に残っている。

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青く光っているのが染色した核である。でかいのがうずべん、小さいのが珪藻由来のものだ。

こいつもなぜか全然増えてくれないので、数日後には全滅しているのだろう。かっこいいだけに惜しい。




あとは筆者が探していたうずべんもいたのだが、これはまだ公開することはできない。論文を待たれよ。




参考
[1]Jang et al. 2019. Gyrodinium jinhaense n. sp., a new heterotrophic unarmored dinoflagellate from the coastal waters of Korea. Journal of Eukaryotic Microbiology 0; 1-15.
[2]Gottschling et al. 2017. Two new generic names for dinophytes harbouring a diatom as an endosymbiont, Blixaea and Unruhdinium (Kryptoperidiniaceae, Peridiniales). Phytotaxa 306; 296-300.