運だけ研究生活

渦鞭毛藻、略して「うずべん」を研究しています。研究者の方向けの内容にはならないとおもいます。悪しからず。

うずべんの気持ち

筆者の扱っているうずべんは餌を食べる。
餌は他の生きた単細胞藻類で、捕まえてかぶりついて丸呑みにする。なかなか豪快な食べ方である。

食事中の動きは大体わかっているのだが、なんと言ってもうずべんが小さすぎて細かいところまでは観察が出来ていない。
そのため、特に切羽詰まった用事は無いなあという日は、うずべんに餌を食べさせてその様子を観察しようと試みを繰り返している。

こう文章に書くだけだと簡単に見えるが、そこまで楽な話ではない。
まず、うずべんの腹が減っている必要がある。これは朝起きてすぐの午前中を狙えば条件が満たされる。
これに加え、うずべんの機嫌を損ねてはいけない。機嫌を損ねると餌を食べてくれない。これが問題である。まずうずべんの気持ちを理解し、どうすればうずべんの機嫌を取ることが出来るか考える必要がある。
例えば、観察中にプレパラートが乾いてしまうともちろんアウトである。機嫌を損ねるどころか死ぬ。
そもそもスライドグラスの上にうずべんを移動させた時点でかなり不機嫌になる場合が多く、なかなか餌を食べてくれない。シャーレの上に乗せたまま倒立顕微鏡で観察すれば普通に食事風景が見られるので、倒立顕微鏡に油浸レンズを装備して無理やり観察することは可能である。とはいえ、正立顕微鏡で観察した方が画質が良くなるので、できればスライドグラスの上で餌を食べて欲しい。

今日までの試行錯誤で、スライドグラスとカバーグラスの距離が一定以上空いていると餌を食べやすくなることが何となくわかってきた。何となくだが。気のせいかもしれない。
ディプレッションスライド(ちょっと凹んだスライドグラス)にうずべんを入れてあげると、カバーグラスをのせた状態でも餌を食べてくれた。しかし、これだと被写体からカバーグラスまでの距離が長くなり、カバーグラスと対物レンズがぶつかってしまうので、やっぱり高倍率での観察はできない。

なんやかんやあって、今日のうずべんはあまり餌を食べる様子を見せてくれなかった。

確実にうずべんの機嫌を取れる条件を何とかして見いだせれば、おそらく観察が一気に進むので今後が楽になるはずだ。そうしたらもっと高性能でハイスピード機能とか付いてるカメラも使って観察したい。