運だけ研究生活

渦鞭毛藻、略して「うずべん」を研究しています。研究者の方向けの内容にはならないとおもいます。悪しからず。

何とかなった

韓国から来ていたSさんだが、明日帰国するということで今日が実質の最終日であった。

昨日の時点でTEM観察を粗方終わらせ、ついでにやっていた遺伝子解析も完遂できていた。しかし、TEM画像の一部があまり綺麗でなかった上、前回作成したTEM切片のほとんどに穴が空いてしまい再利用できなかったため、今日は追加のTEM切片の作成とその観察を目的とした。

なお、「TEM切片に穴が空く」というのは操作上のミスによるものである。一見しょーもない話のようにも聞こえるが、TEM切片は非常にデリケートなので慣れないうちはよくやるものなのだ。ちなみに筆者は未だによくやる。




TEM切片作成から先の作業は、前にも書いたが難易度の高いステップである。
しかし、Sさんも2度目の挑戦で慣れてきたらしく、さくさくと切片を作成して行った。切片をグリッドに載せるのも上手くなり、今回の最高記録は1度に5枚であった。
TEMの操作も慣れてきて、ぎゅいんぎゅいんと視野を動かしていた。

目的の画像も得られたし、結果は文句なしである。

遺伝子解析と形態観察の結果が出揃い、それらをまとめて見るに、Sさんが持ってきたうずべんは未記載種だろうという話を先生も含めて確認した。
Sさんがデータを持ち帰った後、向こうで論文を書き始め、先生や筆者の名前も共著として載せてくれるらしい。やったぜ。




こうして、カツカツな日程だったにも関わらず、Sさんは仕事を完璧に終わらせて帰っていった。いや正確には帰っていくのは明日だが。

なお、来年夏に札幌で藻類学の国際フォーラムがある。これにSさんも参加する予定らしいので、そこで再会することになるだろう。

Sさんのうずべんを何とかする編、完。