運だけ研究生活

渦鞭毛藻、略して「うずべん」を研究しています。研究者の方向けの内容にはならないとおもいます。悪しからず。

不審者

筆者の所属する大学で警戒レベルが引き下げられたことにより、学生向けの実習がぼちぼち再開している。
今日は淡水産の植物プランクトンを観察する実習が行われ、筆者はそのTAとして参加した。

実習に向けて、観察するためのサンプルを採取してくる必要がある。
例年、この実習では某公園の池と北海道庁の池から水を採取している。某公園には細胞学的に非常に面白いNusuttodiniumといううずべんが生息しているので、先生のお気に入りになっている。道庁の池には特に変なのがいる訳では無いが、数と種類はめちゃくちゃいる。

という訳で、今回は筆者が道庁の池へサンプリングしに行く役を仰せつかった。

ところで、道庁は北海道の政治の中枢を担う機関であると同時に、市民の憩いの場でもある。敷地にはいい感じの林があり、池が北側と南側に2つある。昼間は観光客が来たりもするし、風景の写真を撮る人や、ベンチに座って本を読む人などもいる。
そんな中で筆者はプランクトンネットを池に突っ込んでサンプリングする訳だ。どう見ても怪しい人である。

先生曰く、研究室の先輩が道庁で盛大にプランクトンネットを投げていたら、守衛さんに見つかって面倒なことになったらしいので、こっそりやるのがいいらしい。それはまあそうだろうという感じである。
また、朝早い時間帯なら人も少なくて大丈夫かというとそうでも無く、通勤時間と重なると道庁に出勤してきた人に紛れてサンプリングすることになり、かえって目立つらしい。

以上の先人の経験を踏まえ、筆者は10時頃に道庁へ向かった。
とにかくまず目立ちにくそうな場所を探したのだが、これは木がたくさん生えていることもあってすぐ見つかった。結果、おそらくほぼ誰にも作業中の姿を見せることなくサンプリングを完遂した。ただしカラスにはめちゃくちゃ鳴かれた。
目的を達成したあとはそそくさと帰った。

特に面倒なことにならず安心したが、仮にも北海道の中枢であるはずの建物の敷地がこんな死角だらけなのは大丈夫なのかとは少し思った。

サンプルを顕微鏡で覗くと、目的の植物プランクトンがめちゃくちゃいた。
実習も滞りなく終わった。

また、訳あって今回採集した植物プランクトンの写真を結構な枚数撮影したので、改めてまとめてみたりするのも面白いかもしれない。