RNAとの戦い
最近、研究対象のうずべんの遺伝子発現を解析するためにRNAを抽出しようとしている。
RNAと言っても色々種類があるが、今回注目するのは遺伝情報を持つDNAから転写されることでできるメッセンジャーRNA(mRNA)である。
細胞中のすべてのmRNAを解析することで、細胞でどの遺伝子が転写されているか≒発現しているかを知ることができる。これを、ちゃんと光合成するうずべんと、光合成をあまりしていないうずべんで比較して、どういった違いがあるかを調べる、というのが今の筆者のメインテーマの1つである。
今はmRNAを抽出する段階にいる。しかし、これがなかなか上手くいかずに困っている。
mRNAがちゃんと抽出されたかを確認するためには、溶液の吸光度を測る。
RNAは260nm付近の波長の光をよく吸収するので、溶液の吸光度のピークが260nmに出てきれくれればOKだ。
つまり、
形としてはこうなって欲しい訳である。
ところが、どうやら筆者はこの実験がとても下手らしく、260nmよりも単波長側の値が非常に高くなってしまう。
こんな感じである。
問題解決のため、プロトコルのトラブルシューティングを読んだりネットで情報を集めたり先輩に相談したりした。判明した問題点をまとめると以下の通りである。
まず、単波長側の吸光度が高くなるのは、抽出時に使った溶媒やバッファーが取り除かれていないせいらしい。つまり、今の抽出液にはRNA以外に余計なものが入っているという事になる。
これを回避するためにどうすればいいかだが、どうも「混ざらないように気をつける」ことが最善であるようだ。一応、抽出液を透析することで余分な物質を取り除くことはできるようだが、生憎そんな設備は研究室にはない。
さらに、そもそもRNAの収量も十分でないようである。RNAがちゃんと抽出できていれば、もうちょっと260nm付近の値が高くなるはずなのだが、これが低い。
原因としては、細胞の数が少なかった、細胞の破砕が不十分だった、など色々考えられるので、方法に見直しが必要になりそうである。
以上、とにかく苦戦している。
今年度1番やりたかった実験であるだけに、何としても先へ進めたいが、大丈夫だろうか。