運だけ研究生活

渦鞭毛藻、略して「うずべん」を研究しています。研究者の方向けの内容にはならないとおもいます。悪しからず。

うずべんとの別れ

うずべんの研究を始めて6年、筆者は色々な場所へサンプリングへ行ったり、知り合いのご厚意でサンプルを手に入れたりして、数多くのうずべんを手に入れてきた。ごく一部の変わりものや未記載種以外は研究に使うことはなかったものの、顕微鏡を覗いてうずべんを単離する作業そのものが好きだったので、普通種のうずべんも結構捕まえてきた。
先生が何十年もうずべんをやってきた話を昨日の記事に書いたばかりなのでしょぼく見えるが、それでも6年という歳月はちゃんと長い。

一方、筆者は集めるのが好きなだけで整理するのは嫌いである。
結果として研究室の培養庫には6年分のサンプルが蓄積していた。何年も手をつけていないものは干からびてカピカピになっていて、当然うずべんは生きていない。本当は定期的に整理・処分するべきなのだが、後回しに後回しを重ね続けた結果ついに卒業を迎えてしまった。

さすがにこのまま研究室を去るのは怠惰すぎるので、今日は要らない培養株やサンプルの処分を行った。
培養株をそのまま流しに流すと、万が一うずべんが生き残ったまま環境に放たれた場合に良くない上、うずべんが毒を生成していた場合にさらに良くないので、廃液として集めて滅菌処理(オートクレーブ)を行った。廃液は1リットルのボトル4本分にも及んだ。

なお、以前の記事にも書いたが、筆者がこれまで研究対象としてきたうずべんは「要る培養株」ということで先輩に引き継いだ。また別の形で日の目を浴びることを願う。

こうして、筆者が管理するうずべんは全て処分されるか引き継がれるかして、筆者の元を去っていった。
この6年ずっと一緒に生活してきて、うずべんのことを考えない日はちょっとしか無かっただけに、とても名残惜しい。もしかしたらもううずべんと関わる機会は一生訪れないかもしれない。ただ、うずべんと共に過ごした6年が筆者にとって何物にも代えがたい経験になったのは間違いない。

これからも心のうずべんを失わずに生きて行きたい。