運だけ研究生活

渦鞭毛藻、略して「うずべん」を研究しています。研究者の方向けの内容にはならないとおもいます。悪しからず。

マカロニとの戦い

少し前に、細胞からマカロニが生えているうずべんがいるという話をした。
https://under-the-floor.hatenablog.com/entry/2020/06/21/202319

未発表データなので画像を載せられないのが残念だが、こいつが未記載種なのはもう間違いない。どこからどう見ても未知のうずべんである。

こういう生物を見つけた時に、その系統関係を推測するために有効なのが、遺伝子配列データを基にした分子系統解析である。
もちろん形態を観察してどの種と似ているか議論することも大切だが、うずべんの場合は形態から系統関係を再現するのが極めて難しい。現に、2000年頃まで形態的特徴から推測されてきたうずべんの系統関係は、その後の分子系統解析の結果の蓄積により大幅に覆されている。
つまり、包み隠さず言えば、遺伝子読んでみるのがとりあえず結果を知るのには手っ取り早いのだ。

ここ1ヶ月ほど、メインの実験をこなしつつ、暇を見つけてはマカロニの遺伝子を解析してきた。そして、それが今日一区切りついた。

解析結果を要約すると、「よくわからん」であった。

このマカロニ、うずべん全体の系統樹の中のどの辺りに位置するのか全くはっきりしないのである。どのうずべんとも近くない。所属する属どころか、科すら全く見当がつかない。
「俺はどこにも属さないのさ」という一匹狼的中二病のような気概を感じる。マカロニのくせに…。

分子系統解析をやってここまでよく分からない結果になるとは思っていなかったので、面白いなあという興味が半分、ふざけんなと頭を抱えたくなる気持ちが半分である。
引き続き形態観察もやってはみるが、果たしてどうやってまとめればいいのやら…という感じである。